整体の技術には、蒸しタオル法 や温浴法など、一般的にも知られているものもあります。しかしやり方が少し違うだけで効果が大幅に下がり、更に根拠や原理も曖昧なため、一般的には数ある健康法の一つとしてしか認識されていません。
整体体操 も、手順だけみれば簡単なものが多いです。しかしそれは毎日何十人もの体を読み解く指導者により、綿密に設計された結果であり、根拠や原理がしっかりあるものです。今回紹介する “足首回し” は、まさしく誰でもやったことがある動作でありながら、“整体” というものを片りんでも感じることが出来る体操です。
足首回しという一般的にもよく知られている動作でも、ポイントを押さえれば、下肢や腰の症状や様々な問題の改善が期待できます。簡単で馴染の深い “足首回し” は、整体体操の入門編としても最適です。この記事を読むと、足首回しという簡単な動作を通じて、整体技術の片りんを感じ、整体体操の原理やポイントを知ることができます。
一般的な “足首回し” との違い
行う時の姿勢(一般)
- 立位:爪先を地面につけた状態で、ぐるぐる回す
- 座位:逆脚の太ももなどに乗せて、ぐるぐる回す
(場合によっては、手を使って回す)
この辺りが多いのではないでしょうか? これらの姿勢では、一時的に足首が緩むことがあっても持続しません。また足首以外の症状を改善させるのも難しいと言えます(立位であれば、体の使い方を覚えれば効果が出せますが、少なくとも整体初心者がぐるぐる回すだけでは難しいです)。
行う時の姿勢(整体)
- 仰向け:脚を腰幅よりやや広げた状態で、回していく
- 立位:椅子の背もたれなどに手をつき、少し体重をかけながら回していく
Point
床や椅子に座った状態では、膝や股関節が曲がり、そこで力が途切れてしまいます。また立位で行うには、体の前後方向に力が逃げないように、若干の工夫や慣れが必要です。この記事では慣れない方でも効果の出やすい、仰向けで行う方法を中心に解説していきます。
足首の回し方の違い
仰向けの状態が、初心者でもやりやすいことが分かりました。そこで『それでは足首を大きく、ゆっくり回してみてください』と伝えます。しかしほとんどの人が、理想より速く、小さく回してしまいます。(実際、最初からしっかり回せた人に出会ったことはありません)
- とにかく大きく、ゆっくり回す(やり初めは1回転5秒はかけたい)
- 回しにくいところで、ショートカットしない(楕円の動きにならないように)
- 回しにくいところを、早く回すことで飛び越えさせない
- 回しにくいところは、脚全体が動いても良い(逆に体に力を入れて回そうとしない)
整体体操としての特徴や注意点
- 体に意識を向け、集中して行う
- 首や肩に力を入れて行うと、逆に体を壊す
- やり過ぎない
- 呼吸を意識する(終了し脱力後の2~3呼吸を静かに感じる)
整体体操 の概要は、以下の記事を参考にしてください。
Point
足首回しに関しては、ほとんどの人が速く回しすぎる傾向にありますが、整体体操はダラダラとやるものではありません。上手くいけば朝晩1回ずつ1分前後で十分なものが大部分です。その分集中して『ここが回しにくいなぁ』『じゃあここを重点的に回そう』『より回しにくい内回しで…』『あっ、ここを回してると右腰に響くなぁ』などと感じることが何より大切です。
そして大元の原因に働きかけ、効果を定着させるのは、最後に力を抜いたあとの深い呼吸になります。この余韻を逃すと、効果は半減し、長持ちもしません。
また体操は一気に体が緩むので、やり過ぎると緩みすぎて反応が出ることがあります。難しい体操で効果が実感できず繰り返すのは良いのですが、足首回しのような比較的成功しやすい体操では注意が必要です。
整体的な足首回しの手順
それでは実際の手順を挙げておきます。初心者におすすめの仰向けで行う方法に加え、立って行う方法も紹介しておきます。
足首回し(仰向け)
- 仰向けになり、脚は腰幅~やや広い位に開く
(足首・膝・股関節に力が入らず、楽な状態) - 両足を、踵を軸に足首をできるだけ遠回りさせ、ゆっくり内側に回す
- 次は外回しで、なめらかに動かすように心がけ、遠回しにゆっくり動かす
- 回しにくい側、方向があれば、追加する
- 最後は全身の力を抜き、2~3呼吸静かに待つ
こちらの体操が載っている書籍です。豊富な写真やイラストにより、とても分かりやすく解説されています。
足首回し(立位)
- 椅子の背などに片腕を置き、体を安定させる
- 椅子に置いた手とは逆足の、小指側側面を床につける
- 小指の付け根辺りを床に押し付けるように、外回りにゆっくり回転させていく
- 小指の付け根から、外くるぶしの下をよく伸ばしていく
- 動きづらくなったところで回転を止め、2~3呼吸キープしてから脱力する
- 逆側も同様に行う
こちらの体操では、婦人科の急所である外くるぶしの下を中心に緩められます。生理痛にも効果があり、立ったまま出来るので仕事中など気軽に行えます。この体操が紹介されている以下の書籍は、女性であれば常備しておきたい一冊です。
整体的な足首回しの真意
体の問題は、中心から末端へと影響する
- 何らかの原因により、腰の弾力がなくなる
- 腰で支えられなくなったものを、股関節や膝で支えるようになる
- 専門外の負担により、股関節や膝もやがて耐えられなくなる
- 次は足首で支えることになる
Point
実際はもっと複雑に影響しあいますが、ここでは足首の動きを悪くする原因は腰にあると、簡単に理解してもらえれば大丈夫です。例えば足首に症状がある人は、以前股関節や膝の不調も経験しているはずです。それらを痛み止めで抑えたり、我慢していたらいつの間にか痛みが治まっただけで根本が改善していないと、次の足首に症状を出します。もちろん足首の次は足や指に影響し、外反母趾や通風なども結局は腰からの影響になります。
体の問題改善には、離れた箇所を使うほど効果が大きい
『それなら足首なんかじゃなく、大元の原因である腰を調整しないと根本的に良くならないんじゃないの?』と思われるかもしれません。それはもちろん正解なのですが、人の体(動物もそうですが)はとても理にかなったものであり、それを大切する整体技術はとても便利なものになります。
- 腰の問題の影響が、足首にまで及んでいるのであれば、
- 腰と繋げた状態で足首を緩めれば、同時に腰も緩む
- その方が、腰を直接緩ませるよりも効果が大きい
仰向けでの足首回しが、初心者におすすめな理由
- 体の不調の原因である、動きを妨げているものを回しづらさで実感できる
- 下が床なので、平面上の動きで済み、下半身や腰と繋がりやすい
- 体重を床にあずけられるので、無駄な力が入りにくい
足首回しで効果を実感できる流れ
- 足首を大きく回すコース上に、浅い溝が空いているのをイメージする
- 溝がきれいに空いていれば、スムーズに足首を大きく回せる
- しかし足首より上から降りてきた問題で、溝の一部が詰まってしまう
- 速く回すと、溝を乗り越えてきれいに回ったように錯覚するが、
- ゆっくり回すと、詰まった所で引っかかりを感じる
- そこを削り取るイメージで、溝掃除をしていく
- 通らない溝を通す作業は簡単ではないので、脚全体の動きでカバーする
- 下肢の筋肉や股関節、腰骨や筋肉まで総動員することになる
- 結果、足首が緩むと同時に、足首の溝を詰まらせた原因も改善される
足首が回しにくい所では自然に股関節も動くのですが、その動きにより足首を詰まらせた原因の一つである股関節の詰まりも解消してくれます。同様に下肢の筋肉や腰なども改善が必要な箇所は自然と動いて緩められます。
このように本来からだの力学は理に適っており、それに沿って調整していけば無理なく改善されていくものです。
おすすめの書籍と学べる場所
整体体操や、整体の知恵が詰まった書籍を一部紹介します。
寝て行う足首回しが載っている書籍は腰に特化しているため、特に腰の症状をお持ちでない方は、左の人体力学の本がおすすめです。記事中でも紹介しましたが、特に女性には人体美学がおすすめです。また今の時代のトピックスである免疫に関する書籍も出版されています。



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