前編・中編の記事はこちらです。
序文などはそちらを参考いただければと思いますが、注意点だけはこちらにも同じものを掲載しておきます。以下をご了承いただいた上で読み進めてください。
生まれてきた赤ちゃんがどれだけ楽に生きられるかは、一般的にも言われるように幼少期の早い段階で決まります。しかし実際はもっと早く、生まれた瞬間から、更には前編・中編で解説したように妊娠前から始まっています。当然修正が後になるほど、改善が難しくなります。後編であるこの記事では、生まれた瞬間からのポイントを解説していきます。
出産直後
出産直後の環境
中編記事の最後でも触れましたが、赤ちゃん側からの視点のみ復習しておきます。
- 立ち合いは助産師さん一人が望ましい
- 暗く、静かな環境での出産が望ましい
Point
おなかの中の静かで安心できる環境から、いきなり眩しくて賑やかな中に出てきた赤ちゃんは、恐怖心で泣きます。わざわざ夜明け前に生まれるのは、ゆっくと外の世界に慣れていくためで、本来泣く必要はありません。
出産直後から、お母さんと離さない方が良い
- 胎盤を出す間も、お母さんの傍らに寝かせておく
- その後もずっと離さずにおく
赤ちゃんには24時間何も与えない
- 初乳も24時間たつまで与えない
- 白湯であってもおなかに入れない
理由は、以下のようになります。
- 赤ちゃんのおなかには、胎内で溜め込んだ宿便が残っている
- 初乳には特別で大切な成分が含まれており、宿便を出してから新しい栄養を与える
- そのためには、24時間かけて、自然に宿便を排泄させる
- 初乳には一定の毒素も含まれており、それにより残りまで排泄され、あらゆる臓器がリフレッシュし、栄養を吸収する準備も整う
Point
日本でも昔は、このように宿便を排泄させるという考えがされていたようです。宿便排泄の前に初乳を与えてしまうと、毒素排泄の機会を逃し、アトピー性皮膚炎などの原因になると言われています。
その後も赤ちゃんは静かな環境で
- 出産の体験自体が、すでに大きな刺激やストレスになっている
- 聴覚以外は未発達な状態で外の世界に放り出された格好である
産後のお母さんの過ごし方
産後しばらくは、床について養生する
- 出産により広がった骨盤は、7~10週間かけて元に戻る
- その間に骨盤に負荷をかけてしまうと、戻る働きが止まってしまう
- 骨盤の動きは肩甲骨や後頭部と連動しており、洗髪や目の使い過ぎにも注意が必要
- 早い床上げは産後太りの原因になるのはもちろん、容姿の衰えや体のあらゆる不調の原因になる
- 逆にここが上手に経過できれば、喘息などの慢性病や持病、視力の問題などが一気に改善することがある
- 骨盤の開閉は、母乳の量や質とも関係するため、赤ちゃんの成長にも影響する
床上げのタイミング
- その間骨盤は、8時間ごとに左右交互に縮んでいく
- 左右の骨盤が揃ったタイミングに合わせて、少しずつ負荷をかけていく
(1時間ほど座ったり、トイレに行くなど) - 骨盤が揃うタイミングの測り方は、左右の脇で体温測定し温度が揃ったとき
- 経産婦であれば最初に揃ったタイミングで床上げできるが、初産の場合は3回揃うまで待つ
- ただし床上げ後も、7~10週間は水仕事や腕を使う作業は禁忌で、家事や目を使う行為、編み物などは避ける
床上げに失敗した場合の対処法
起き上がる時期を間違え、骨盤が開いたまま固まってしまった場合の改善方法として、整体体操の一つ “産褥体操” があります。骨盤がなかなか元に戻らないときにも効果があります。
- 仰向けになり、股関節の幅に両踵の幅も併せる
- 足首を内転(爪先を内向き)にし、両爪先の間がこぶし1個分になるようにする
- その状態のまま、両足をゆっくり上に持ち上げる
(ゆっくり持ち上げようとして骨盤にぐっと力が入ることが大切で、足は上がらないのが正常) - 産後1週間を過ぎてから、朝一番、起きた時点で一度に3~4回まで行う
(やり過ぎると逆に体を壊すので注意) - この体操を1週間毎日行い、次の1週間は休むというのを繰り返しながら、骨盤が揃う7週を目安に続ける
母乳の与え方
授乳はお母さんと赤ちゃんの呼吸
- お乳が張ったら赤ちゃんのお腹が空いていて、
- 赤ちゃんのお腹が空くと、お乳が張るようになっている
- これを自分で感じ、体のリズムで与えれば良い
Point
前編の記事から解説してきたように、お母さんが自分の体やお腹の赤ちゃんとの会話が出来ていれば難しいことではありません。授乳に関しても、○○時間おき、赤ちゃんが泣いたらあげる、夜中は控える、など情報や頭で考えて行うと、育児もどんどん難しいものになってしまいます。
乳腺炎やお乳の出が良くないとき
原因は記事の前半にあるように、産後の無理や、床上げのタイミングの間違え、栄養過多などがあります。乳腺炎になると赤ちゃんが母乳を飲みにくくなり、母乳を出し切れないために悪化するという悪循環を引き起こすため、早めの対応が推奨されます。
蒸しタオル法で乳腺を緩める
蒸しタオルをおっぱいの上にあてるだけの簡単な方法ですが、とても効果があります。しかしやり方を間違えると効果が半減したり、ほとんど無くなってしまうこともありますので、初めての方は 蒸しタオル法に関する記事 を一度参照しておくことをおすすめします。
リンパ体操で改善させる
詰まりやすい外側の乳腺や脇の肋間を緩める体操です。乳腺だけでなく、リンパの流れを改善し、免疫力を高めることもできます。リンパ体操に関しては、こちらの記事 を参照してください。なお、この記事全体の参考書籍は最後に紹介しますが、少し昔のものになります。体操に関しては最近のものの方が写真やイラストが豊富で分かりやすいと思いますので、リンパ体操が解説されているものを紹介しておきます。
断乳の時期
- 赤ちゃんがいろんな食べ物に興味を示し始めると、ある時突然お乳を嫌がることがある
- このタイミングでスパッと止めるのが理想で、7か月程度と言われているが個人差が大きい
- 動物には簡単だが、情報に頼り頭で考えてしまう人間はタイミングを逃しやすい
- 遅すぎるとお母さんの肺に負担をかけたり、赤ちゃんが食べ物を始め、他のことに興味を持つことを阻害してしまう
- 早すぎる場合は、母乳の質低下や、お母さんへの興味が薄れた可能性がある
Point
本来は断乳の時期になると、母乳そのものに味や栄養が無くなってきて、お母さんも与えたくない気がしてきます。赤ちゃんもおっぱいに吸い付かなくなります。しかし赤ちゃんとのコミュニケーションが上手く取れないと、何で泣いているか分からず、安易におっぱいを与えてしまいます。赤ちゃんの方もとりあえ吸い付きますが、本当の要求は満たされず欲求不満はつのります。
赤ちゃんの環境
赤ちゃんを寝かせる環境
首のすわる生後3か月間は、薄暗く、静かな環境でお母さんのおなかの中の延長のように育てます。この時期は寝ることを栄養に成長するので、食べるときと出すとき以外は、安心できる環境で寝ていることが一番です。
- 日当りのいいところには寝かせない
- 人が廊下を歩く振動やドアの開閉音、大きな話し声などにも注意する
- 布団は安定感のない赤ちゃん用ではなく、大人の布団でよい
(掛布団は成長に合わせ、丁度いい重さのものを使う) - 窓の方に頭を向けると、安定して頭の形も良くなる
室温や湿度
赤ちゃんは体の容積が小さいため、暑さや寒さ、乾燥に対して、大人よりもずっと弱いです。
- 夏の冷房や扇風機の風邪を直接あてると、下痢や肺炎の原因になる
- 冬は室温と湿度の調整が難しく、上手くいかないとあっという間に肌が乾燥してくる
- 湿度は加湿器よりも、洗濯物や濡れタオルを干しているくらいの湿度が丁度いい
- 必要以上の厚着は、余分な汗をかき、蒸れてしまう
その他
赤ちゃんの運動は入浴
- 赤ちゃんも大人と一緒である程度の運動が必要ですが、それが入浴になります。
- 赤ちゃんにとっての入浴は、垢を落とすのが目的ではなく、運動の一つ
- 栄養の吸収や、眠りの質とも関連が深い
- 低体重出産など、小さな問題は入浴により改善できる
赤ちゃんの入浴のさせ方もいろいろあいますが、長くなるので記事の最後に書籍を紹介していますが、ここではポイントだけ挙げておきます。
- お湯の温度ははじめ38℃くらい ➡ そこから2℃ほど上げる
- 入れる人の心臓側を頭とし、後頭部は湯に浸けない
- 当然大人が温まるまで入れず、顔や頭に汗をかき始めたらあげる
捕食は生後1か月半~2ヵ月からがおすすめ
理由は、赤ちゃんの食べ物に対する興味が育ち、食べ物以外の要求の世界も広がるからです。
- 乳製品と動物性たんぱく質で育てるのがポイント
- 子供の栄養は3歳までで決まる
Point
食べ物に関してもきりがないので詳細は書籍に譲りますが、とにかく栄養の濃いものを与えることが大切です。牛肉が一番よく、噛めないうちは絞り汁がおすすめです。栄養の薄い穀物や野菜ばかり与えていると、草食動物のように無駄に大きく硬く鈍い体になりがちです。戦後の日本人のように頭が大きい体型になるのも、薄い栄養で育つ特徴の一つです。豹やチーターのように柔軟でしなやかな体に成長にするには動物性のタンパク質で効率よく栄養を摂ることが一番です。
赤ちゃんの笑顔には恐怖によるものもある
赤ちゃんが喜ぶとからと、良かれと思ってやっていることの中には、実は恐怖で早くやめてほしくて笑顔を作らせている行為もあります。
- くすぐる、高い高いをする、いないいないばあをする
- 見知らぬ人に顔を近づけられてあやされるのは強い恐怖
- 揺りかごで揺らされたり、上でぐるぐる回るおもちゃは気持ち悪くなるだけ
Point
自分自身に置き換えてみれば簡単に分かることなのに、なぜ赤ちゃんなら喜ぶのだと錯覚してしまうのでしょうか? またお母さんが赤ちゃんを見せびらかしたいという欲求は、そのまま成長してから必要以上に見てほしいという要求になり、それが満たされないと他人に迷惑をかけてでも注目を浴びたいということにつながります。
赤ちゃんにごまかしは良くない
あかちゃんがぐずるのに対し、適当なことを言ってごまかしたり、気をそらしたり、おやつで機嫌をとるようなことは良くありません。何故ならそのまま、他人を食べ物やエサで釣ることや騙すことを教える行為だからです。
おむつはなるべく早く外す
おむつが早く外せる子供ほど、感受性が高い子供に育ちます。吸収力の高さを売りにする紙おむつが推奨されていますが、大切なのは、
- おむつの中で排尿や排便をした時の不快感を覚えさせ、
- お母さんがそれを読み取る
ことです。いつまでもサインに気づかないと、赤ちゃんの方も教えることをあきらめてしまいます。親子の絆が強くなるか断絶に向かうかの境目にもなります。
赤ちゃんの健康は重さ、腹、内腿で判断する
赤ちゃんの健康や成長を判断するのに、一般的には身長や体重、ミルクを飲む量などが使われます。それで平均以上だと安心したり、平均以下だと不安で育児ノイローゼを引き起こしたり一喜一憂します。しかし考えてもみて下さい。このような判断では家畜を育てるのと同じ感覚です。周囲の情報に惑わされない、しっかりとした判断方法を解説します。
- 栄養が満ちている赤ちゃんは、首や内腿にムッチリ肉が付き、しっかりとくびれがある
- 元気な赤ちゃんは、おなかに力があり、触ると弾力がある
- 心身ともに上手くいっている赤ちゃんは、抱いたときにずっしりと重さを感じる
(重さは感じるが、抱きやすい)
Point
特に抱いたときの重さの感覚は大切で、様子がおかしいときや 打撲 の後など、軽さを感じた場合は直ぐに救急車を呼んだ方がいいくらいです。もちろんこの “重さ” は体重計で測れるものではありません。良い重さというのは、中が充実しているような重みを感じるということです。更に、健康な赤ちゃんは、中心に力があるのでブレず、体に吸い付いてもくるので、重いのに抱きやすいです。
まとめと参考にした書籍、学べる施設
まとめ
出産直後からの赤ちゃんとお母さん、それぞれの過ごし方などを紹介してきました。細かく解説すればキリがないので、大切なことや、忘れられつつある知恵などを中心に取り上げてみました。更に詳しく知りたいかたは、このあと紹介する書籍を参照していただけたらと思います。また授乳時期以降の子育てに関しては、また改めて記事にしたいと思います。
参考書籍と学べる施設
発行年は古めですが、妊娠・出産の総論はその後新しい書籍は出ていません。それでもまだ絶版になっておらず、普遍的な内容であるということかと思います。念のため早めの購入をおすすめします。




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