首から上の症状は、体幹部の問題のほとんどが要因となり得るため、原因は多岐にわたります。しかし “寝違え” を起こす体には、起こしやすい特徴もあります。この記事を読めば、寝違えを引き起こしやすい体の特徴が分かります。それにより寝違えの予防方法から改善方法まで理解することができます。
寝違えについての一般的な認識

一般の方にもイメージしやすいように、先ずは寝違えについての一般的な認識を紹介しておきます。医療系のHPから一部抜粋しています。
眠っていて目が覚めたときに、首の後ろや首から肩にかけての痛みが出ることがあり、いわゆる「寝違え」と言います。首を動かすと痛みが出る時もありますし、痛みで首を動かせない時もあります。
検査や画像でとらえられるような変化がないのが一般的なので、正確な原因は不明です。睡眠中の不自然な姿勢がにより一部の筋肉が血流不足におちいりしこりとなっている、前日などにいつも以上のスポーツや労働をして一部の筋肉が痙攣している、頸椎の後ろ側の炎症、などの原因が考えられています。それらを引き起こす要因としては、上肢の使い過ぎ、同じ姿勢の持続、飲酒後や疲労後のため寝返りの少ない睡眠、パソコンや事務作業など頭を一定位置に保持することによる頚部筋肉の疲労などが原因の場合が多いと思われます。
寝違え後は痛い方向には動かさずにいる方が良いでしょう。医療機関で処方される湿布には、炎症を抑えて痛みを取る薬剤が含まれていますので、痛い部分に貼るのは有効です。鎮痛消炎薬や筋弛緩薬の内服も有効でしょう。可能なら緩やかにストレッチするのも有効な場合がありますが、痛みを我慢してストレッチするのは逆効果の場合があります。筋肉のけいれんが原因の場合には、こむら返りの治療で使う漢方薬が有効なこともあり、痛い筋肉や筋膜に局所麻酔薬を注射する方法が有効な場合もあります。マッサージが有効な場合もあるかもしれませんが、余計に痛くなる場合には良くありません。
寝違え(起床時の首の症状)を起こす体の特徴
それではここから整体的な認識を解説していきますが、首の症状を引き起こす原因は複雑で多岐にわたるため記事の後半で解説します。
ここでは先ず “寝違え” の字のごとく、起床時の症状であることに焦点を当てることで、寝違えの最も特徴的な部分を解説していきます。
体は 昼間働いて硬くなった部分を 寝ている間にゆるませる
- 昼間仕事や運動などで疲労すると、使用した部分が硬くなる
- 硬くなった部分は働きが悪くなるので、睡眠中にゆるませようとする
- 健康な体では、翌朝にはゆるみきり、働きを回復させる

寝てもゆるみきらない箇所があると翌日に疲労を持ち越す

- その人の体力(回復力)を超えた疲労がある
- 体の一部を酷使したことによる、部分疲労がある
- 睡眠の質が良くない
などがあると、寝ている間に回復しきれず、翌日に疲労を持ち越します。そしてそのような状態が続くと疲労が蓄積されていき、やがて大きく体調を崩します。
Point
簡単に “疲労が蓄積” と表現していますが、実際は硬く働きが低下した部分を他の部分が補い合いながら広がり、やがて大きな体の歪みとなっていきます。そして体の力ではどうにもない歪みとなたときに風邪を引きます。風邪による熱は、体の力では戻せなくなった箇所を一度壊し、完全につくり直すことで機能を回復させます。
また疲労の特徴として、くたくたになるまで動いた疲労よりも、パソコン作業などの部分疲労の方が圧倒的に回復しにくいです。
この辺りの詳細を書き始めるときりがないので、詳細は 睡眠についての記事 や 風邪と熱についての記事 を参照して下さい。
睡眠中や起床時の症状は 体の他の部位がゆるむために強調される

睡眠中は体が全体的にゆるむため、ゆるみにくい部位の硬さが目立ち、そこをゆるめるための症状を出します。そしてそれでもゆるまない場合は、場所によっては痛みなどの症状を引き起こします。いくつか例をあげます。
- 肋骨の一部がゆるみきらないと、寝ながら咳をすることでゆるめようとする
- のどがゆるまない人は、いびきをかくことで ゆるめようとする
- 他がゆるみきってくるタイミングの朝方に、ゆるまない 肩の痛み で目が覚める
Point
痛みや硬さを持ち越す分には、まだ体が 『痛いからギュッと力を集めて!』と自力での改善余地がある状態です。それでも改善されないと、硬い状態から力が無い状態に変化してしまい、こうなると自力での回復は困難になります。こちらの詳細は 痛みや痒みについての記事 を参照して下さい。
寝違えは腰に力が無いことが引き金になる
ここまで読んでいただけた方は、何らかの原因で、首の筋肉の疲労が抜けないことが、寝違えにつながることは想像できると思います。
しかし寝違えというのは、首が回らなくなるという、比較的強い症状がでるのは何故なのでしょうか?

- 腰首という言葉があるように、首の症状には、必ず腰の状態が関係している
- つまり首が硬い人は、腰も硬いことがほとんどである
- 例外は、腰が硬いを通り越して力が抜けてしまったときで、これが厄介
- 本来は支えである腰の力がないため、睡眠中も首をゆるめられない
- それどころか腰の力が抜けるほど、どんどん首が硬くなっていく
Point
このように腰に力が無いと、①腰の代わりをして疲労する ②睡眠中もゆるめられない 状態に陥ります。
この状態で更に他の ③首を硬くする要因 が揃うことで、寝違えを引き起こします。
③の首を硬くするその他の要因について、このあと解説していきます。
首を硬くする その他の要因
要因1 食べ過ぎで首が回らなくなる
猛暑が始まる以前は、日本人の不調の原因を多く占めていたのが “食べ過ぎ” です。現代は猛暑による症状が急増していますが、もちろん食べ過ぎによる症状が減少しているわけではありません。

- 胃に負担が掛かると、肋骨(季肋部)が硬く張り出してくる
- 肋骨を介して、背中の(背骨を支える)筋肉を硬直させる
- 食べ過ぎの負担は、更に神経を介して胸椎6番目の骨に伝わる
- 胸椎6番の骨の脇を走る 2.の筋肉を更に硬直させる
- 肩甲挙筋など、首と関係する筋肉を硬直させる
上図を見てもらえれば分かるように、食べ過ぎによる影響は 肩 も通っていますし、更に上にあがれば頭の症状にもつながります。この辺りの詳細は 食べ過ぎについての記事 を参照して下さい。
要因2 心理的ストレスで首が回らなくなる


心理的ストレスから首への影響は複雑で経路も多いです。解説も長くなるので、詳細は ストレスについての記事 を参照して下さい。ここでは簡単に、経路を紹介しておきます。
- 一般的にもイメージしやすいと思いますが、ストレスは胃に影響するので、要因1と同様の経路をたどり、首を硬くさせる
- ストレスにより前傾姿勢(猫背)が癖になり、首が引っ張られて硬直する
- ストレスは体にとって中毒の一種でもあり、肝臓の疲労から肋骨が硬直し、首が引っ張られて硬直する
Point
左の季肋部には胃があり、右の季肋部には肝臓があります。つまり胃とストレスは関連が深く、胃と肝臓も位置と機能(共に消化器)的にも影響し合います。
要因3 腕の使いすぎで首が回らない
こちらについても詳細は “腕の疲労についての記事” で確認してもらえればと思いますが、 簡単に紹介しておきます。

図のように、腕を使い過ぎたことによるダメージは、腕を登っていき、肩周りや首だけでなく、肺や肋骨、頭部まで波及していきます。
なお手指を含めて青く塗っていますが、これにも理由があります。介護や育児、建設現場など、腕を酷使する職業や生活もありますが、現代においては手指の酷使がとても多いということです。
そして体にとっては、体を小さく使う動作であるほど、深刻で回復しにくいダメージとなります。
要因4 猛暑によるダメージ首が回らない


寝違えの 予防・改善方法
頸椎4番の体操 で首の症状を改善させる

寝違えだけでなく、首や肩の症状全般に効果がある体操です。
- 正座やイスに座り、軽く腰を伸ばす
- どちらかの手を首の後ろにあて、顔を少し上に向ける
(このとき一番へこむところが 頸椎の真ん中にある 頸椎4番) - 上を向くことで頸椎4番の辺りに力が集まるのを感じたまま、手は体の横に下ろす
- 頸椎4番を意識しながら、後ろ側を見るようにゆっくる首をひねる
- いっぱいの所までひねったら、そこから勢いよく正面に戻す
- 逆側も同じようにおこなう
- ひねりにくかった側を、もう1~2回おこなう
Point
椅子でなくても、膝立ちや立位でも可能なので、仕事中などでもできると思います。いずれの体勢でおこなうにしても、軽く腰を伸ばすことが大切です。なぜなら記事の前半で解説したように、首の問題は、腰が改善しない限り根本解決にはならないからです。腰を伸ばして行うことで、首も安心してゆるむことができるし、同時に腰自体も良い状態へ導くことが可能になります。
このように “整体体操” には、各体操に共通したポイントや注意点がありますので、初めての方は 整体体操についての記事 を参照しておいて下さい。
腰を強くする体操で 寝違えなどの首の症状を予防する

- 記事の前半で解説したように、腰がしっかりしていれば首の症状はまず起こらない
- 仮に首に負担がかかったとしても、睡眠中にゆるむことができる
Point
首に症状を出しやすい人の特徴として、いつも首や肩周りに力が入っていることが挙げられます。そのような癖がある人は、下半身の体操をすることで、力の焦点を下げることもできます。
腰を強くする体操の手順については こちらの記事 で解説しています。
首の症状原因に合わせた体操で 根本的に改善させる
根本改善を目指すのであれば、大元の原因に合わせた体操をするのが望ましいです。

- 食べ過ぎが原因 ➡ 食べ過ぎ体操
- 精神的ストレスが原因 ➡ ㇵの字の肋骨挙上体操
- 腕の使い過ぎが原因 ➡ 重ね重ねの体操
- 猛暑によるダメージ原因 ➡ C体操
蒸しタオル法で 首の症状を改善させる

先に体操をして、症状が残った箇所にあてるのが望ましいですが、体操をする余裕がないときは蒸しタオル法だけでも効果は大きいです。
体操と同様、原因となった箇所(硬い肋骨や季肋部など)まで合わせて改善させる力を持っています。このように蒸しタオル法は簡単で効果が高い技術ですが、やり方を間違えると効果が半減、またはほとんど無くなってしまうこともあります。初めての方は 蒸しタオル法についての記事 を一度参照しておいて下さい。
まとめとおすすめの書籍
まとめ
- 首に負担を掛ける要因として、食べ過ぎ・心理的ストレス・腕の使いすぎ・猛暑によるダメージ について解説しました
- それらの負担は通常 睡眠中に改善されるが、腰に力が無いと、安心してゆるむことができない
- 他の部分は寝ている間にゆるむのに、首だけゆるまないことで、症状が強調されたり、寝違えを発症させることになる
- 首の症状を改善させる方法として、頸椎4番の体操について解説しました
- 寝違えなどの首の症状の予防方法として、腰を強くする体操と蒸しタオル法を紹介しました
- 首の症状の根本原因ごとに、適した体操を紹介しました。
おすすめの書籍
- 体のゆがみを治して健康になる!
寝違えについて直接項目を使って解説されている書籍ですが、新品での購入は難しいかもしれません。他にも色々なからだの症状について原因や改善方法が解説されています。Amazonでも状態の良い中古本が出品されることもあるので、一冊手元に置いておくことをおすすめします。 - 痛み、疲れは「動いて」消す! 人体力学
こちらは記事で紹介した頸椎4番の体操が紹介されています。また寝違えの原因である食べ過ぎへの対処法も載っていますが、特にストレスについてかなり細かく解説されています。全体的にはからだの各部位の痛みや疲労の対処方法や改善方法が理解できます。新品やkindleでの購入も可能です。



コメント